ギャラリーがらん日記 71
「森の空想コレクション」展、高見さん、皆さん、
お疲れ様でした。そして、会期中ご来場くださった沢山の
方々、本当にありがとうございました。
東京はこの九州民俗骨董展を終えると同時に梅雨入り
しました。
あの狛犬たちのなんとも独特な南方の風貌を、
雨の路地裏でぼんやりと思い出したりしています。
そういえば、今思うと、西荻路地裏通信のアイコン犬
「ボブ」も、あらためてよーく見ると、ちょっと南方狛犬系の
風貌もあったりして・・?。興味深いところです。
さて、先日来、西荻路地裏通信を覗いてくださっている
方々の中で、「ルイス・ハイン」という1900年代初期に活躍した
アメリカの社会派写真家の名前で検索されるケースが
意外と多いことに気づきました。
がらんオーナーは大丸ミュージアムでの「20世紀の巨匠展」にて、
ルイス・ハインの作品をあらためて見て感じ入った記憶があります。
その少し前、吉祥寺は伊勢丹にある武蔵野市美術館にて
土門拳の一大回顧展に足を運びました。
極めて個人的なことですが、がらんオーナーとしては土門拳の
「筑豊の子供たち」が見たくなって出かけたのです。
その記憶と感動はそのあと、東京八重洲にて全くの偶然で出会った
1900年代初頭、アメリカ全土に及んだ若年者違法労働の告発写真
へと、つながってゆきました。
その後いろいろと調べてみてもルイス・ハインに関する情報、文献は
とても少ないのが実状です。そうして、なんとかたどり着いたのが
「小さな労働者」という、あすなろ書房から出版されている一冊の
本でした。
KIDS AT WORK という原題のこの本はラッセル・フリードマンという
ジャーナリストの執筆によるものです。
そこにはルイス・ハインという、もとはといえば一介の平凡な教師が、
当時(つまり世界恐慌前後)のアメリカ中はびこっていた、
4歳、5歳といった幼児すらも過酷な低賃金労働に着かせた上、
ろくな教育も与えないという社会的実態を写真に収め続けた記録が
淡々とつづられています。
大丸ミュージアムでは、会場に入ったところでまず最初の
展示がルイス・ハインの撮った少年少女たちでした。
1908年からしばらくといえばまだキャビネ版の箱型写真機
つまり、写真工学の黎明期です。
・
それにしては、写真が生きていました。
・
生きている、と感じるのは、100年も昔のその少年たち少女たちの
「汚れてきれいな顔」を写真が捉えていたからです。
悲惨さを極める環境の記録、という全米児童労働委員会からの
依頼仕事という上で、ルイス・ハインは、天使のポートレートを
撮った、ということなのだろうと理解しました。
がらんオーナーは今また「小さな労働者」を読み返しています。
さて、西荻窪ギャラリーがらんでは次回7月5日より
今田まり・絵本原画展「夏におはよう!」を開催します。
絵本画家今田まり氏の小学館おひさま8月号掲載作品の
原画展示・販売+最近作イラスト原画展示・販売&
CM美術デザイナー高砂浩明氏によるExhibition デザインコラボ。
ちょっとばかり鬱陶しい季節ですが
今田さんの描き出す陽気な「おひさま」で、その時ばかりは
スカッと梅雨時の晴れ間を覗かせたいと思っております。
どうぞ、皆さんお楽しみに!!!
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